【ききみみ】DISH//北村匠海の表現力が人の心を打つワケ

「あんぱん」の記者会見でフォトセッションに臨む北村匠海(撮影・大城有生希)

ロックバンド「DISH//」のボーカルで俳優としても活躍する北村匠海の演技に注目が集まっている。現在、NHK連続テレビ小説「あんぱん」で、アンパンマンの作者・やなせたかしさんをモデルにした人物を熱演中。北村自身の明るくイケイケなキャラクターとは異なり、繊細で不器用ながらも心優しい姿に視聴者が引き込まれている。

物語で描かれるのは、ヒロイン(今田美桜)に怒られて落ち込んだり、将来の進路が決まらずくじけたりする情けない姿。挙げ句の果てにはヒロインへ恋心を告げられないまま、結婚を許してしまう。それでも常に利他的で心優しく、自分は後回しで誰も傷つかないような選択をする姿が視聴者からの共感を得ている。史実通りなら、今後は戦地に赴き壮絶な体験を経て“絶対的な正義”を大切に思い、やがて「アンパンマン」を完成させることになる。

北村にとっては初の朝ドラ。“第2の主人公”と言っても過言ではない大役に「自伝を読んで、インタビュー動画もたくさんみて、どんな事を考えている人なのか。どんな話し方の人なのか。研究しました」と話すほど入念に役作りをした。作品への愛もたっぷりとあり「保育園でなじめない時はアンパンマンに助けられた。カレーパンマンが友達で、しょくぱんまんがヒーローでした」と語っていた。

最近の北村といえばネットフリックスドラマ「幽☆遊☆白書」での浦飯幽助役や、映画「東京リベンジャーズ」の主人公など真っ直ぐな不良役などが記憶に新しい。出世作となった17年の映画「君の膵臓をたべたい」では、人と交流を持ちたがらない内気な高校生が、本を介した交流を通じて余命宣告をされながらも明るく人生を全うするヒロインに心を開いていく姿を好演した。あるドラマ関係者は「キャラクターの分かりやすい漫画原作から複雑な感情を持つ青年まで、その演技の幅は広い。今回の朝ドラでもさらに評価を高めるでしょう」と見解を示している。

そんな北村の表現力は音楽活動でも目を見張るものがある。17年に発売された「猫」は現在、サブスクリプション(定額聴き放題)でヒットの基準と言われる1億回をゆうに超える5億回再生を突破。当初はカップリング曲で知名度は低かったが、20年にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で披露するとスマッシュヒット。共に暮らしていた彼女が家を出て行ってしまった悲しみを猫に例えた歌詞が共感を生み、北村の切なく泣き叫ぶような声も相まってコロナ下の鬱屈(うっくつ)した日々を過ごす視聴者の心を打った。

音楽関係者は「北村さんは今でこそ俳優活動に注目が集まりがちですが、元々は音楽活動に力を入れており、その熱量は今でも変わりません」と話している。俳優と音楽の二刀流で活躍する北村の今後の活躍から目が離せない。(吉澤 塁)

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